「二人の剽窃」と「栄之と歌麿・北斎の鎮魂」

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「葛飾北斎」と云ってもこの時は「勝川春朗」であるが、その春朗が「勝川派」を破門されるという事件がある。

その原因についていろいろ云われているが、最大の問題は「勝川派」の画風に見切りを付けたのか、他流派の画風を学んでいる事をとがめられていた事が云われている。
寛政五年末に勝川派を破門され、俵屋宗里の名で出すのが寛政七年と云われている。ちょうどこの間に「東州斎写楽」が出現しているのである。この事が、北斎と写楽が同一人物ではないかとの混乱を与えている。
しかし、わたしの中では北斎が写楽ではない事がはっきりとした今、春朗が勝川派をやめることになる原因は別にあると確信している。

それが東洲斎写楽の絵の出現と関係しているのではないかと思う。

勝川派の画風を踏襲している春朗もまた役者絵を描いていた。
寛政五年の中頃以降寛政六年の四月末までの間に北尾政美の描いた役者絵を見たのであろう。
春朗はその出来映えに驚愕して、ショックを受け、以来役者絵から撤退することになったのではないかと考えている。
そして、それ以来結果的に、北斎の作品のオリジナリティの前に常に政美がおり慧斎がいたことになったのであろう。
また、もう一人の剽窃の人は喜多川歌麿である。
それは、蔦屋重三郎に見出され、重三郎とともに蔦屋を発展させてきたという自負をもっている歌麿が蔦屋をやめることになった事件である。
「松葉楼装ひ 実を通す風情」の大判錦絵黒雲母刷りの豪華版がこの事件の発生を証明していると思うのである。
この作品についての謎を追求していく事でそれが明らかになるのではないかと考えている。
 今の段階で云える事は、これほどすばらしい作品であるのに、歌麿の代表的作品の中に何故これが含まれていないのかという事である。わたしが見る限り、歌麿の作品の中でも群を抜く程の出来映えだと思うのである。
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これはどういう事か、歌麿筆 となっている作品「松葉楼装ひ 実を通す風情」はわたしの見立てでは、これが「歌麿」の作品であれば、間違いなく『歌麿』の最高傑作と言っても過言ではない。
ところが専門家の評価は必ずしも同じではない。
もしも「最高傑作」との評価がされているならば「浮世絵大系 6 歌麿/栄之」(監修菊地貞夫、昭和50年11月30日集英社刊)「名宝日本の美術22  歌麿」(執筆狩野博幸、監修太田博太郎・山根有三・米沢嘉圃、昭和56年3月20日小学館第一刷)には掲載されていないはずがない。また、「太陽浮世絵シリーズ 歌麿」(監修渋井清一九七五年一月二十五日初版第一刷平凡社発行)にも掲載されていない。そしてまた、「浮世絵名品撰 歌麿」(福田和彦編著 KK ベストセラーズ発行)にも掲載されていなかった。さらに、「原色日本の美術17 浮世絵」(菊地貞夫 編著小学館発行)にも、歌麿の作品が掲載されているのにこの作品は取り上げられていない。
結局「写楽・歌麿・北斎・広重 四大浮世絵師展 中右コレクション」(監修中右瑛 神戸新聞社発行)に始めてみることができた。実のところは、この本からの逆行的構成を試みたのであるが。
「歌麿の代表作」なのであれば、これが採用されない筈がない。

ところが、これを「歌麿の代表作」として採用されないばかりか、この作品そのものをも採用されていない。
これは一体どういう事なのであろうか。どうやら、「作品そのものの評価以外の問題が内在している」と言う事を示しているようである。
それは何かというと、「歌麿の作品ではないのではないか」と言う疑いをもっていたからではないだろうか。たしかに、「歌麿筆」のサインは書かれている。そうであるからが故に発生した問題が由来しているように思えてならない。わたしの推理では次のように考えている。
その問題と言うのは、浮世絵の美人画の大家であると評されていた「鳥文斎栄之」と「喜多川歌麿」の間に生じた問題で、一説では「歌麿が栄之の作品を揶揄し中傷した」という事を発端にして、栄之の弟子である『鳥橋斎栄里』が自分の作品を歌麿の作品の中に紛れ込ませていた。歌麿がそれと知らずに「歌麿筆」のサインをしてしまって、後になってそれと気づいた時のショックが『蔦屋』にいられなくなってしまった原因になったのではないだろうか。
その『因縁』の絵が、「松葉楼装ひ 実を通す風情」だったのではないかと思うのである。そして、それを描いた「鳥橋斎栄里」は鍬形慧斎であり北尾正美であるとわたしは考えている。
by kanakin_kimi | 2010-09-20 18:44 | 鍬形恵斎鎮魂 | Comments(1)
Commented by Dragon'sprophet at 2013-06-10 03:08 x
Dragon's prophet gold Adaptable and hold me style.


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