カテゴリ:波崎事件( 8 )

わたしは、何をしたらいい !! ー 1

幸浦事件のその後

袴田事件という冤罪事件の救援運動に関わってなんとか全体が見えてきた時、わたしは県下の戦後発生した冤罪事件を時系列でシリーズにして、講演会を開催する事を計画した。
「清水郵便局事件」「幸浦事件」「小島事件」「二俣事件」「島田事件」「袴田事件」「下田缶ビール詐欺事件」の七事件のうち「幸浦事件」「小島事件」「二俣事件」「島田事件」を取り上げた。

袴田事件の集会に比べれば格段に参加者は少なかった。わたしの一方的な取り組みだからでもあったのかもしれない。何故、私はこの七事件を取り上げる事にしたのか、整理した話はできない。無理矢理整理すれば、とってつけた話になる。講演会をしながら、その中で何か見えてくるかもしれない。そんなところだったのだろうと思う。

「幸浦事件」の講演会に備えて、妻と一緒に「幸浦】へ行った。
無罪になって既に40年が経っていた。糸平さんは既に亡く、妹さんがおられるのでお話を聞ければよってゆこう。その前に、犠牲者のお墓の写真を撮っておこう。

幸浦の砂浜は海風が強く、ビデオカメラのマイクが風でうなっている。サツマイモ畑の一角にお墓があった。土を盛り上げたいわゆる土まんじゅうが点々とありその中に墓石が並んでいる。

お墓の辺りから少し東の方へ行くと、老人会がゲートボールをやっているのが見えた。糸平さんの妹さんがいるお住まいを聞こうと思って近づいていくと、長老格の雰囲気をかもしている人がいた。隣の女性に聞いてみた。

「幸浦事件で、無罪になった糸平さんの妹さんを探しているのですが、ご存知でしたら教えてください。」と聞いたのです。間違いなく、無罪になった糸平さんといっているのです。

ところが、隣の長老格の雰囲気をかもしている老人が

「おお! あの加害者の妹ならここにいるぞ。」

と、云ったのです。
私は耳を疑いました。あの人は何を云っているんだ、とドギマギしたのでしょう。

その時、さっと入ってきた女性が「私は何をしたらいい!」と云ったのです。
糸平さんの妹さんでした。

あれ以来、10何年もたっているのに、わたしはいまだに「わたしはなにをしたらいい!」という言葉に答えられていない。

by kanakin_kimi | 2012-09-13 15:32 | 波崎事件 | Comments(1)

石橋鎮魂 ー 富山鎮魂 終章

五月女さんからダンボール箱 4箱 を預かりました。わたしに真相解明をしろというお気持ちなのだと思っています。
アインシュタインシンドローム 25 から 28 までにわたしの真相解明を書いています。
これを五月女さんへのご報告とさせてください。
物証が皆無の冤罪 ー 波崎事件 ー で関わりのある人々のさまざまな思いがある中で、皆さんの共通の思いは「石橋さん富山さんへの鎮魂」という思いであろうと思いました。そういう事から、石橋さんの妻への気持ちを「藐姑射山」(ハコヤノヤマ)の神女という言葉として「発言したのだ」と推しはかりました。偶然テレビで「タロウの塔」というNHKのテレビ映画のコマーシャルがされていた。しかも今日二月二十六日夜九時放映する。なんとも不思議な気がして、見ることにした。岡本太郎さんの映画だそうだ。岡本太郎さんのお母さんが岡本かの子で、その作品の一つが「夏の夜の夢」です。
青空文庫の電子書籍にボランティアのかたたちから提供されています。
by kanakin_kimi | 2011-02-25 21:43 | 波崎事件 | Comments(1)

アインシュタインシンドローム 28

ーー 石橋鎮魂 ー 富山鎮魂 ーー ⑷

藐姑射(ハコヤ)の山 ーー というのは、本来は「遥かなる姑射(コヤ)の山」の意であるらしい。姑射山(コヤサン)というのは中国で仙人が住んでいるという想像上の山だそうである。
岡本かの子は、このハコヤノヤマをつぎのように使っている。

石橋のかかっている中ノ島の古松を越して奥座敷に電灯が煌々とついていた。ーーーーー 中略
牧瀬は月にキラキラさせながら魔法瓶からコップへ液汁をなみなみと注いだ。
歳子がそのコップを月にさしつけて透かしていると、牧瀬は水晶石榴のシロップです、シロップでは上品な部ですね、といった。
それから彼は不器用にパパイヤを切って小皿に載せ、レモンを絞ってかけてから匙と一緒に差し出した。藐姑射山(はこやのやま)に住むという神女の飲みそうな冷たく幽邃(ゆうすい)な匂いのするコップの液汁を飲み、情熱の甘さを植物性にしたような果肉を掬って喰べていると、歳子はこころがいよいよ楽しくなった。ーーーーー中略。

という文章になっていて、わたしには石橋と妻の絡みにも似た思いがした。
by kanakin_kimi | 2011-02-14 20:32 | 波崎事件 | Comments(0)

アインシュタインシンドローム 27

ー 石橋鎮魂 ー 富山鎮魂 ーー ⑶

電報ゲームというのは、一定の文章を何人かで伝えていくうちにはじめの文章とは全く違った文章に大きく変わってしまうという、その面白さをゲームに取り入れたものだ。
石橋さんの状況を妻から最初に誰が聞いたのか。富山さんが電話で聞いた女性Aという人がそれなのか。それとも、その女性Aの前に誰かがいたのか。このことは、「ハコヤ」という言葉が「分水嶺」となったことに伴う「場所の分水嶺」となる。つまり、石橋さんが語った言葉①から、富山さんが電話で聞いた言葉n①に至る分水嶺なのである。
つぎに、石橋さんの言葉を妻が聞いた時刻②は何時だったのか。そして、富山さんが電話で聞いた時刻n②は何時だったのか。これも、「ハコヤ」が分水嶺となったことに伴う「時間の分水嶺」なのである。
さて、真相解明のマニュアルの第一は、真実と虚偽の分岐点となる要素をまず見いだすことである。具体的な物証が提出されている場合は、その物証間におのずから矛盾が露呈されるのである。
この事件では物証は皆無であり、状況証拠を積み重ねて人がする判断を混乱させることに努力が払われ
ており、真実を明らかにしようとはしていない。そして、結局有力な証拠として寄りかかっているのが
「妻が石橋から聞いたとする言葉ハコヤ」であったのである。
つい先ほどまでの信頼関係のある石橋と富山から、突如として「富山に薬をもられた」という言葉は、流石に出ていない。富山に誘導する言葉「ハコヤ」がその役割をもたせられた。どうやら、そこに「ハコヤ・・」と「薬を盛られた」という言葉をつなげたものが分水嶺の中にいるのである。
石橋が云った言葉は、夏の夜の夢のザクロのシロップのような色合いの飲み物を連想され、妻に最後の
愛の言葉をこめて「ハコヤノヤマ」のフレーズが出たのであろう。
しかし、妻には「ハコヤノヤマ」がなんのことなのかわからなかったのであろう。
by kanakin_kimi | 2011-02-13 23:06 | 波崎事件 | Comments(0)

アインシュタインシンドローム 26

ーー 石橋鎮魂 ー 富山鎮魂 ーー ⑵

岡本かの子の「夏の夜の夢」が初めて出版されたのは1937(s12)年7月である。
その26年後、1963年8月にこの事件が発生した。この本を石橋さんは読んでいた。どこかで、牧瀬と自分をダブらせ乍ら、愛する妻に残してやれるものをと考えていたのだろう。
警察は、石橋さんが飲まされた薬物を青酸系薬物と特定し、死亡時刻が遅いという矛盾をカプセルで乗り越えようとした。しかし、それを裏付ける物証はなにひとつない。
夫婦間の機微に疎い人々が犯した誤判が最初にあったのか、そうだとすればこれ程強引な捜査誘導は何に起因しているのだろう。
冤罪が起きるというのは、捜査現場の一員が起こし得無い強力な一線がある。捜査の指揮権がある者が被疑者を犯人と特定して捜査誘導出来る権限を有する者に限られるということである。
しかし、一方では捜査の指揮権を持ち捜査誘導出来る立場にあるものが誤判であることが社会的に明らかとなった場合のリスクを補償するバックアップがなければ強引に踏み込むことはできないだろう。
その「リスクを補償出来るバックアップ」とは何だったのだろうか。
by kanakin_kimi | 2011-02-11 17:22 | 波崎事件 | Comments(0)

アインシュタインシンドローム 25

ーー石橋鎮魂ーー富山鎮魂ー⑴

真実と虚偽を別ける分水嶺がある。その分水嶺は、時間であり場所である。
死亡時刻と死亡場所は、殺人事件の真相解明にとって有力な分水嶺となっている。
しかし、事実認定を裏付ける証拠が全く皆無の事件がある。
波崎事件である。
この事件の犯人にされた富山さんは雪冤途上に無念の獄死をしている。
この事件の有力証拠となっているのは「伝聞証拠」である。
死亡した石橋さんの妻が、石橋さんが死亡する前にいった言葉を聞いたとされたものである。妻の話はこうであったようだ。
「石橋は12時一寸前頃帰ってきて箱やで酒をよばれて来たといい、八日市場へ行って来た話や、明日隣の:ちゃん:に行って貰う話なぞし乍ら一旦:トロトロ:一眠りしたと思う頃ーーうう苦しいーーといって表へ飛び出し、少ししてから又座敷へ帰り、:だまされた:とか:箱屋に薬を飲まされた:とか云って意識を失った」
この中の「ハコヤ」という言葉が富山さんを犯人視する有力な証拠となっていった。
波崎事件の真実と虚偽の分水嶺は、伝聞証拠である「ハコヤ」になっているように思われる。
そして、この「ハコヤ」という言葉は、岡本かの子の「夏の夜の夢」に出てくる「ハコヤの山」を連想させる。
「ハコヤ」を有力証拠としたことによって、真実を示す証拠群が排除され、富山さんを犯人にするための証拠集めがされ、その結果物的証拠が皆無ということになってしまった。
本来なら起訴できない事件である。一体どんな力が働いているのか ーーー 。
by kanakin_kimi | 2011-02-09 22:55 | 波崎事件 | Comments(0)

「センバ」を孤立させるな!2

北海道で裏金問題が出たときは幹部の中に勇気のある人がいて事実を認めたが、やはり組織は認めなかった。
仙波さんが不当配転に勝利しても、組織は謝罪しなかった。
二俣事件で須藤さんが無罪を勝ち取っても、「冤罪」を告発した山崎兵八さんに静岡県警はいまだに謝罪していない。
組織内民主主義が否定されているところではその組織そのものが崩壊する。
組織の維持の為にする犯罪を組織の機能と権力を使って行われていれば、他の組織がそれと同じ事をしていても取り締まる事は出来ないだろう。警察の組織と暴力団の組織を自ら同じものにしてしまうのか。
そして、それを改めさせようとする者を抹殺する事は組織の自浄機能すらも抹殺する事なのである。
組織の民主主義を否定し、社会的制裁手段である裁判の結果すらも黙殺する司法執行機関の目的は何であろうか。
もはや救い様のないものとなっているのか。
自浄作用が働く救いはもはや期待できないのか。
そうだとすれば、そんな組織はいらない。
by kanakin_kimi | 2009-05-18 23:42 | 波崎事件 | Comments(0)

波崎事件の雪冤

富山さんが亡くなった今「雪冤」の意味は「真相解明」以外にはないと私は思っています。
しかし、それを「裁判」という場でやるしかないのだろうか。
勿論わたしは、「死後再審」を闘っておられる方々に水を差そうというのではありません。
ただ、その闘いの「エネルギー」をかける場が「裁判」以外にないのだろうかと考えるのです。
例えば、右翼と左翼が対立軸を持っているように言われます。
ところが、実は「右翼」と〈左翼」に対立軸がある訳ではないのです。
そもそも「右翼」とは何でしょう。「左翼」とは何でしょう。
私は、「権力者とか支配者」が自分の都合のいいように「分裂させて支配しやすくしている方法の一つ」でしかないと思っています。
ですから、支配されている者を団結させないように常に分裂している状態をつくり、それを継続させるようにコントロールするのです。それを一言で言うと「分裂支配」と言います。
「右翼」と〈左翼」という対立軸とは、その一つなのですね。
ですから、「権力者や支配者」は、自分の都合で、どちらでも利用するのです。
それは、今までの歴史で明らかになっている事ですね。
また、人類の歴史は、「支配者」と「被支配者」という対立軸を解決できていません。
人類内部の対立軸は「社会制度の変遷」として「奴隷制」「封建制」「民主制」に変化していますが、「資本主義的自由」と「国家主義」を克服できていないために、「対立軸」を見誤らせています。
もう世界史は「社会主義」の時代ですから、「社会主義と資本主義」が対立軸ではなく、もちろん「右翼と左翼」が対立軸ではありません。
真の対立軸は「真実」を「隠滅する側」と「解明する側」が対立しているのです。
「真実を解明する側」が勝利する事によって、すべてが氷解して行くのです。
そういう時代であると認識すると、エネルギーのかけどころも判るのではないでしょうか。
by kanakin_kimi | 2007-10-23 23:23 | 波崎事件 | Comments(0)